現在、高血圧の治療薬で二大勢力といえば、カルシウム拮抗薬とAT1受容体拮抗薬です。カルシウム拮抗薬は血管を収縮させる筋肉を緩めて、血管が拡張することで血圧を下げる薬です。アムロジピン(製品名:アムロジン、ノルバスク)がその代表で、これだけでかなりの割合を占めています。

一方、AT1受容体拮抗薬(ARB)は血圧を上昇させるホルモンの作用をブロックして血圧を低下させる薬で、多数の製薬会社から様々な薬剤が販売されており、群雄割拠の状況です。最初のARB(ニューロタン=ロサルタン)が販売開始したのが1998年ですが、その後も様々なARBが開発されています。研究結果が改ざんされて話題になったディオバン(物質名:バルサルタン)もその一つです。ちなみに古い世代のARBは特許が切れているので、後発品(ジェネリック薬)が出ています。

製薬会社が次々と新製品を投入するという事は、そのジャンルの需要が多く利益になりそうだからです。今や、膨大な数の日本人が高血圧の薬を服用しており、ARBはその主軸だからです。どれも同じように見えるARBですが、それぞれ微妙な違いがあります。世代が新しくなるにつれて降圧効果(血圧を下げる力)が強くなるか、作用時間(効果が続く時間)が長くなってきています。現時点で最も新しいARBはアジルバ(物質名:アジルサルタン)ですが、降圧効果と持続時間共に最良と言われています。

アジルバの次に新しい世代のARBがオルメテック(オルメサルタン)で、アジルバが発売される前には最強の存在でした。私も多くの患者さんに処方しており、効果を実感しています。その、オルメテックが、最近になってOD錠というものに変わりました。OD錠とは口の中で溶けて、水なしで服用可能な薬剤です。OD錠は最近の流行りですので、オルメテックにOD錠が出るのは別にいいのですが、問題はいままであった普通の錠剤は販売を止めてしまったことです。通常、ODが出ても以前の錠剤が併売される事が多く、状況に応じて使い分けがされています。いきなりOD錠しかなくなると、いままでオルメテックを使用していた患者さんは、全員強制的にOD錠に変えなくてはなりません。

どうして、オルメテックは強引にOD錠に切り替えようとしているのでしょう?それは、販売している製薬会社の都合があるからと思われます。ARBで大きなシェアを持っていたオルメテックも、遂に特許が切れる時期を迎えることになりました。できるだけジェネリック薬にシェアを奪われないために、OD薬への置き換えを進めておこうとしてるのでしょう。OD錠に慣れた患者さんが、ジェネリックに変更するのを嫌がる事を期待しているのだと思います。お蔭で現場は多少の混乱を来しています。OD錠になっても薬効に変わりはないのですが、急に薬が変わったので不安になる患者さんもいました。製薬会社は、自社の都合だけでなく現場の事も考えてほしいものです。