日々、高血圧診療に携わる医師が、高血圧とのかしこい付き合い方を解説します。知識があれば、自分の血圧は自分で管理できます。

どこを受診すれば良いのか

人間にはいろんな人がいるように、医師にも色々あります。あなたが高血圧の治療をするという事は、あなたの寿命や将来の健康状態がどうなるかを担当医師にゆだねるということです。

 一般の方はご存じないかもしれませんが、おざなりな診療をする医師も(ごく?)まれながら居るというのが、日本の医療の現実です。だいぶ前になりますが、過去に勤務していた病院でのことです。同僚のある内科医師の外来カルテを見ると、血圧は必ず120/70というように、ほとんど同じ数字しか書いてありませんでした。看護師に聞いてみると、その医師は血圧を測るのが異常に速く「ちゃんと測ってないんですよ」とのことでした。血圧を測るパフォーマンスだけで、実際には適当な数字を記録していた訳です。「とりあえず何か薬を出しとけば、後は知ったことではない」という感覚なのでしょう。
 高血圧の治療は内科医師にとって基本的な業務で、特別に難しいものではありません。しかし、降圧薬の種類は多様化してきており、患者さんにとって最適な治療を行うとなると、多少なりとも知恵を絞る必要があります。「血圧が高い?じゃあこれを飲んでおいて」と降圧薬を処方し、以後は何も考えず同じ処方を繰り返すのみ。そんな『処方箋自動販売機』のような診療を受け続けるのは不幸な事だとおもいます。自分に適した治療を受けられるように、あなたも少し考えてみましょう。
「担当の医師があなたの高血圧治療を真面目に考えてくれているか?」ある程度、推測するには以下について注意してみると良いでしょう。

①家庭血圧をチェックしているか?
 人間の血圧は時間帯や環境で変動しています。以前から白衣高血圧という言葉があり、病院に来たり、診察室に入ったりすると血圧が高くなってしまう人が結構います。そのため、病院・クリニックで血圧を測るだけでは、その人の普段の血圧を知ることはできません。ほとんどの時間を自宅や職場で過ごしている人に、診察室での血圧を根拠に薬を処方するなんてナンセンスな話です。また、外来に来る時間帯は血圧が低くても、朝は高いなんて人はよくいます。昔は仕方がなかったと思います。自動血圧計が普及しておらす、自宅で血圧を測定できる人は限られていましたので。しかし、現在の医療では家庭血圧に基づいて治療する事が常識となっています。反対に、「診察室で血圧を測定する事に、はたして意味はあるのだろうか?」と感じるこの頃です。

②血圧以外の合併症を把握しているか?
「高血圧の治療でどこまで血圧を下げる必要があるのか?」これは人によって違うという事実は、あまり知られていないようです。その人の年齢や、どんな合併症(高血圧以外の病気)を持っているかで、目標とする血圧が変わってくるのです。50歳代で糖尿病・慢性腎障害を合併している人と、80歳代で高血圧のみの人とでは治療の内容が大きく違ってくるのです。
 単に血圧の数字だけで処方を決めているようであれば、心もとない診療と言わざるを得ません。

 長い高血圧治療において、良い主治医と出会う事は大切です。良い主治医とは決して「愛想が良い」という事ではありません。近所に大変繁盛しているクリニックがあり、そこの院長先生は気さくで愛想が良いので人気のようです。しかし、そこでかかりつけの方が具合が悪くなり、私の勤務する病院へ時々やってきます。その処方内容を見ると、どう考えてもおかしい事が多いのです。おそらく、患者さんから何か訴えがあると薬を処方し、以後は同じ処方を漫然と繰り返しているのでしょう。そのため、不要な薬をずっと飲み続けている患者さんが大勢います。白衣を着ていても中身はそこいらにいる人と何ら変わりはありません。『処方箋自動販売機』に当たらないよう、くれぐれも注意しましょう。
 最後に強調したいのは、施設の大きさや知名度は関係ないという事です。小さなクリニックであっても立派な診療をしている医師は大勢います。ところが、日本人には『大病院信仰』のようなものがあるのか、「大きい病院へ行っておけば安心だから」と必要もないのに大病院へ行きたがる傾向があるようです。そのため、病院の内科外来はいつも混雑しています。しかし、合併症のない高血圧の患者さんが、病院へ通院する必要性は特にありません。近所に良いクリニックを見つけて、普段はそこで治療を受けるのがベストだと思います。

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