日々、高血圧診療に携わる医師が、高血圧とのかしこい付き合い方を解説します。知識があれば、自分の血圧は自分で管理できます。

高血圧の薬を知ろう

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あなたは自分が服用している薬がどんなものかご存知でしょうか?
現在、日本で高血圧の治療に使用できる薬には膨大な種類があります。古い世代の薬の中には、現在ほとんど使われなくなってきたものもありますが、一方で新しい薬も次から次へと発売されています。ここでは、現在の高血圧治療で主に使用されている薬を取り上げています(実際にはもっとたくさんの薬がありますが、自分がよく使用するものを選んでいます)。難しい理論は簡単に済ませて、実際の医療現場でどう使われいるかを解説します。より詳しい情報を知りたい方は、製薬会社のホームページなどを参考にしてください。

①カルシウム拮抗薬
【概要】
現在、降圧薬の二大勢力の一角を占める薬。動脈に作用して、これを拡張させる(広げる)作用がある。血圧に影響する因子として血管抵抗性という物があり、細い動脈が広がったり狭くなったりして調節している。カルシウム拮抗薬はこの細い動脈を広げることで血圧を低下させる。色々なメーカーが多数の製品を開発してきたが、最近は主に下記の薬剤の使用頻度が高い。
代表的な副作用:立ちくらみ、頭痛、脚のむくみ、動悸など
【代表的な薬】
●アムロジピン〔製品名:アムロジン、ノルバスク、他〕
近年、カルシウム拮抗薬で最もよく使われている薬。ジェネリック(後発品)も多数出ている。
作用時間がとても長く、1日1回の服用で良い。
効き目が安定するまで時間がかかる(1週間くらい)。つまり即効性はない。
副作用は比較的少ない薬だが、血管を広げる薬なので立ちくらみの出る人は時々いる。
●アゼルニジピン〔製品名:カルブロック〕
作用時間がとても長く、1日1回でよい。
アムロジピンでもまれに動悸・心拍数の増加を起こす人がいるが、この薬はその副作用が少ないとされている。
●ベニジピン〔製品名:コニール〕
作用時間が長い(上記2剤にはやや劣る)。腎保護作用があるとのことで、腎臓の病気を合併した人に使われる事がある。
循環器科の医師が狭心症の予防も兼ねて好んで使う傾向がある。
●ニフェジピン〔製品名:アダラートL、アダラートCR、他〕
カルシウム拮抗薬の中では世代の古い薬。
血管を広げる効果が強いが、作用時間が短いという欠点がある。
その欠点を補うために、薬剤がゆっくり放出される徐放錠というものが主に使われている。
徐放錠のアダラートLは1日2回、アダラートCRは1日1回の服用となっているが、実際のところ次の服用前には効き目が落ちてきている事が多い。つまり、血圧が変動しやすい傾向がある。
心拍数増加などの副作用は比較的起きやすい。
現在ではアムロジピンに主役の座を完全に奪われたが、血圧を下げる力は強いので、血圧がなかなか下がらない人に使われる場面もまだある。ただし、高血圧の治療を初めて受ける人が、この薬(特にアダラートLなどの1日2回の薬)をいきなり処方されたら、「このお医者さん大丈夫だろうか?」と思った方が良いかも。

②ACE阻害薬
【概要】
血圧を上げるホルモンの一種、アンギオテンシンの働きをブロックして血圧を下げる薬。血管を広げる作用と、血液のボリュームを減らす作用がある。血圧を下げると同時に、腎臓や心臓を保護する作用もあり、一時はカルシウム拮抗薬と並んでよく使われる薬であった。しかし、人によって咳が出やすくなるという副作用があり、これを解決した次世代の薬(③ARB)に取って代わられた。現在では、新たに処方される事はほとんどなくなってしまった薬だが、以前から服用を続けている人はけっこういる。咳の副作用がなければあえてARBに変える必要はないでしょう。
腎臓の保護作用がある一方で、腎機能の低下した人は悪化する危険もあるので注意が必要。また、血液中のカリウムが増える作用があるが、腎機能障害のある人は特に影響されやすい。
【代表的な薬】
●エナラプリル〔製品名:レニベース、他にジェネリック多数〕
一昔前までは頻繁に処方されていた薬。ARBの登場により、現在は新たに処方される事は少なくなったが、以前から服用を続けている人はまだ多数いる。
作用時間が長く、1日1回の服用で良い。
多数のジェネリック薬が普及している。
●他にも多数の薬剤(コバシル、タナトリル、カプトリル、etc…)があるが、使用されることは少なくなった。糖尿病に良いとか、心臓に良いとか、おまけの効果をアピールしている物もあるが、基本的には機能や副作用に大差はないと思われる。

③ARB(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
【概要】
カルシウム拮抗薬と並んで、降圧薬の二大勢力となっている薬剤。血圧を上げる作用のあるアンギオテンシンというホルモンの働きをブロックし、血圧を下げる。ACE阻害薬と作用は似ているが、ACE阻害薬で問題となっていた咳の副作用がない。そのため、ACE阻害薬に取って代わり急速に普及した。その他の効果、副作用はACE阻害薬とほぼ一緒である。血管を広げる作用と、血液のボリュームを減らす作用がある。降圧効果に加えて、心臓や腎臓を保護する効果がある。
腎機能が低下した人は悪化したり、高カリウム血症を起こしたりする危険があるので、慎重に使う必要がある。その場合は時々、血液検査をして腎機能とカリウムの値をチェックしなくてはいけないが、ちゃんとやっていない医師も時々いるので要注意。
売れ筋のためか多数の製品が発売されており、市場を分け合っている。旧世代の物にはジェネリック薬が出始めている。全ての薬剤は基本的に1日1回の服用で大丈夫ですが、薬によっては24時間後に効果が落ちてくるものもあります。
【代表的な薬】
●ロサルタン〔製品名:ニューロタン〕
最初に発売されたARB薬剤。私が研修医の頃はこれしかなかった。
高圧効果は、新しい世代に比べると劣る印象。そのうえ薬価が高めで、あまり使われる機会がなくなってきた。私はこの10年間、新たに処方したことはないと思う。別に悪い薬ではないので、これまで服用してきた人が続けるのは何ら問題ありません。
●バルサルタン〔製品名:ディオバン〕
データ改ざん事件でマスコミを賑わせた薬剤。脳梗塞や心筋梗塞を予防する効果が他のARBよりも高いというデータを捏造していたらしい。薬そのものは別に問題はなく、他のARBと同様の効果はある。報道後しばらくのあいだ、この薬を服用していた患者さんで「大丈夫なんでしょうか?」と心配される方がいた。その都度、「血圧の薬としては特に問題ないものですよ」と説明しなければならなかった。メーカーの企業姿勢が釈然としないので、最近は新規の処方を控えています。
●オルメサルタン〔製品名:オルメテック〕
大きな特徴はないが、比較的よく出ている薬。
高圧効果が強めとされている。
●テルミサルタン〔製品名:ミカルディス〕
ほとんどのARB薬剤は腎臓から尿中に排出されるため、腎機能の低下した人には使いにくい。その点、この薬は胆汁排泄といって、肝臓から腸管内に排出されるので、腎機能の低下した人でも使いやすい利点がある。私は、腎障害のある方にはこの薬を優先的に選んでいます。
●アジルサルタン〔製品名:アジルバ〕
新しいARBで、効果が長く持続するとのうたい文句。
朝に高血圧の薬を飲んでいると、翌朝には効果が減弱していることもある。
その点が改善されると期待されるので、早朝高血圧(朝に血圧が高くなる)の人などに良いと思われる。
これから処方が増えていくと思われる。

④利尿剤
【概要】
尿量を増やす薬。体の水分が減ると血液のボリュームも少なくなり、血圧が下がるという仕組み。降圧効果はあるが、体は脱水傾向になるので、脳梗塞などの血管が詰まる病気のリスクが高くなる。そのため、高齢者に使うときは慎重に行う。また、尿酸値の高い人は利尿剤の影響で悪化しやすいので注意が必要。元々、塩分過剰気味の人にはより効果が期待できる。
通常は、高血圧の治療に利尿剤を単独で使用する事はない。ARBやACE阻害薬の降圧効果を増強するので、少量をこれらと一緒に使う事が多い。色々と副作用に注意が必要な薬なので、内科医でも高血圧に使用する人は限られている。
【代表的な薬】
●トリクロルメチアジド〔製品名:フルイトラン〕
高血圧治療に最もよくつかわれている利尿剤。塩分に含まれるナトリウムを排泄する作用もある。
糖尿病や脂質異常症(高コレステロール血症)を悪化する場合があるので要注意。

⑤βブロッカー(β遮断薬)
【概要】
自律神経に作用して血圧を下げる薬。自律神経の一種である交感神経が活発になると、血圧が上がり心拍数は早くなる。つまり、体を戦闘モードにするする。ストレスや不規則な生活、睡眠不足などは交感神経が活発になりやすく、高血圧の原因となる。βブロッカーはこの交感神経の作用を弱めることで、血圧を下げる効果を発揮する。
普段からストレスが多くて、心拍数が早めの人には良い適応となる。壮年期の男性患者にこのタイプが多い。また、心筋梗塞や狭心症の発作を予防したり、心不全の悪化を予防したりする効果もあるので、こうした人には積極的に選ばれる。ただし、気管支喘息のある人や一部の不整脈のある人は悪化するので禁忌(使えない)。また、糖尿病や脂質異常症(高コレステロール血症)が悪化する可能性があるので注意が必要。
ちょっと難しい薬なので、内科医でも使わない人が多い。循環器内科の医師は積極的に使う傾向がある。
【代表的な薬】
●カルベジロール〔製品名:アーチスト〕
血管を広げる作用もあるので、高血圧治療に向いている。ジェネリックも出ており、そちらの方が増えてきている印象。
●アテノロール〔製品名:テノーミン〕
βブロッカーではメジャーな薬だが、高血圧よりも不整脈の治療に使われる事が多いと思われる。

⑥αブロッカー(α遮断薬)
【概要】
βブロッカーと同様に、自律神経に作用して血圧を下げる薬。こちらは血管を広げる作用が中心で、心拍数には影響しない。副作用は少なく使いやすい薬だが、血圧を下げる効果はあまり強くない。糖尿病や脂質異常症を改善する効果もあるといわれており、メタボリックシンドロームの人などには良い適応と思われる。
最初からこの薬を使う医師はあまりいない。ほかの薬剤を使っても高血圧治療が不十分の場合に、追加して使われることが多い。
【代表的な薬】
●ドキサゾシン〔製品名:カルデナリン〕
αブロッカーでは一番よく使われている。作用時間が短いので1日2回の服用が必要。
早朝高血圧(朝に血圧が高くなる)のある人に寝る前に服用してもらうことで、早朝の血圧が改善できることもある。私はもっぱらその使用法でお世話になっている。
最近はジェネリック薬が多くなっている。

⑦合剤
【概要】
二種類の降圧薬をブレンドした薬。薬の数を減らせるという利点がある。ARB+利尿剤とARB+カルシウム拮抗薬の2パターンがあるが、どちらにもARBは必ず含まれている。特に、ARB+利尿剤は相互作用で降圧効果が高まり、一部の副作用を減らす効果もあるので相性が良い。一方、ARB+カルシウム拮抗薬の組み合わせは、「わざわざ一緒にしなくてもいいんじゃない?」と個人的に思う。一時、合剤ブームがあり、色々な製薬会社が合剤を発売してきた。これは、国の方針でジェネリック薬の割合が増えてきたことと関連があると思われる。合剤を使ってもらうことでジェネリック薬へ患者が流れるのを防ぎたいという思惑があるのではないかと考えられる。ちなみに、合剤の薬価は二種類処方した場合と大差ないので、合剤に変えてもあまり節約にはなりません。
●ARB+利尿剤
製品名:エカード、ミコンビ、コディオ、プレミネント
●ARB+カルシウム拮抗薬
製品名:アイミクス、レザルタス、ミカムロ、ユニシア、エックスフォージ

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