最近、問題になっている過労死は、ストレスによる血圧上昇の影響が大きいと考えられています。
診察室で血圧を測ると、自宅で測った血圧よりも高くなる人は大勢います。「うちの血圧計は安物だから…」なんて言い出す方もいますが、そうではなくて時と場所により血圧が変動しているのです。
自宅で測った血圧が120/70 ⇒外来の待合室で測ると135/80 ⇒診察室で測ると150/95
なんてことは日常的にあります。診察室に入ると無意識のうちに緊張してしまい、血圧が一時的に上昇しているのでしょう。人間は心理状態によって血圧が変動するという良い例だと思います。
診察室にいる時間はせいぜい5分〜10分程度であり、特に影響はありませんが、もしも自宅や職場などで同じことが起こっていたらどうでしょう?家庭や職場で緊張したり、ストレスを感じたりする状況があると、血圧が上昇している時間はかなり長くなるでしょう。それが毎日のように繰り返されたなら、健康に影響が出てきます。最近、問題になっている過労死は、ストレスによる血圧上昇の影響が大きいと考えられています。
高血圧のある人は、職場や家庭で慢性的にストレスを感じていないか、よく振り返ってみましょう。「仕事が忙しくなってから血圧が高くなった」なんてことはありませんか?その環境を変えることは簡単ではないかもしれませんが、少しでも改善する努力はしてみましょう。「ストレスのひどい職場で働いており、すでに血圧がかなり高い」なんて場合は、可能なら思い切って転職した方が良いかもしれません。ストレスが多い状況が続くと、血圧が上がるだけではありあせん。うつ病になったり、免疫力が低下して癌の危険も増えるようです。健康に代えられるものは有りませんので。
この話題のまとめ
- 人間は心理状態により血圧が変動する。
- 職場や家庭などで日常的にストレスを感じていると、血圧上昇が持続することになる。
- ストレスを我慢し続けると、高血圧以外にも健康を害する可能性がある。